ここで、俺は、アイツに会った。

桜満開の木の下で…

桜の木の下で…

４月、猛勉強して、希望の高校に入った俺。

桜の木の下で、アイツに会った…

中丸　「うわ！なんだ、この桜…でけぇ〜　　！」

一人の女がいた。

それがアイツ…

最初はそんな気になんなかったけど、

よくあのデカイ桜の木の下にいるのを見かけるようになった。

中丸　「…この桜の木、デカイよな〜」

　「！！うん、デカイ！」

彼女は と言った。

この学校を受験した理由が、この桜の木に惚れたからだと言う（笑）

それから俺達はよく一緒にいるようになった。

他にも友達はいるけど、 と一緒にいる事の方が多かった。

中丸　「 〜！」

　「雄ちゃん！」

中丸　「帰ろうぜ〜」

　「うん」

校門を出る時、必ず立ち止まる…

桜を見る…

そんな は凄くキレイだった。

　「もう、桜の季節も終わるねぇ〜」

中丸　「そうだな〜」

　「夏か〜…夏は苦手だ」

中丸　「なんで？」

　「暑いじゃん」

中丸　「…いや、夏だからね（笑）　夏、いいじゃん！女は露出度も多くなるし…」

　「…エロじじぃ…」

中丸　「！じじぃってなんだよ！！」

　「じじぃじゃん！エロじじぃ！！（笑）　雄ちゃんの前ではキャミとか禁止だよね（笑）」

中丸　「ええ！着てくれよ〜！」

　「やだ〜（笑）」

俺達は、毎日こんな感じで、周りからは『いいコンビ』だ、なんて言われていた。

そんなある日だった。

俺は の親友の から、ある事を聞かされる…

　「中丸〜」

中丸　「ん？」

　「なんで、 がこの学校、きたか知ってる？」

中丸　「？　あの桜の木に惚れたからだろ？」

　「…、この学校に好きな人いたんだ。中学の時の先輩…事故死しちゃってね…
　　　　　『あの桜の木の下で待ってる』って…」

中丸　「！！」

知らなかった…

あの桜が好きってのに、そんな意味があったなんて…

今でもその人の事、待ってるのかな…？

中丸　「…」

俺は桜の木を見上げた…

でけぇ〜…

いつみてもデカかった。

　「雄ちゃん？」

中丸　「 …」

　「どうしたの？」

中丸　「…桜の木の下で待ってる…」

　「！！」

中丸　「ごめん、 に聞いた…」

　「そっか…」

それから はゆっくり口を開いた…

この桜の木の事…

好きな人の事…

入学前にその人が他界した事…

でも、 の顔は悲しいとかじゃなくて、穏やかだった。

中丸　「…ごめんな、こんな事、聞いて」

　「ん？いいよ、別に（笑）　悲しんでたって始まらないし」

中丸　「今でも好きなの？」

　「！好きじゃないって言ったら嘘になる…けど、前に進まないと（笑）
　　　　　別に付き合ってたわけじゃないよ。片思い。思いを伝える前に逝っちゃった」

中丸　「…」

　「ごめんね、こんな話し…」

俺は答える事ができなかった。

なんか、切なすぎる…

そんな話をしたのにも関わらず、 はいつも通りだった。

俺はなんだよ…

あ”〜！！こんなんじゃダメだ！！

　「雄ちゃん、帰ろ〜！」

中丸　「おう！」

　「もう、散っちゃったねぇ〜」

中丸　「そうだな〜。　… 、明日の放課後、この桜の木の下で待ってる…」

　「！！うん…」

俺は、次の日の放課後、 を桜の木の下に呼んだ。

中丸　「…」

　「雄ちゃん…」

中丸　「！　 、俺はお前が好きだ。あの人のようにはなれない…
　　　　　でもずっと傍にいる。いてやれる…」

　「雄ちゃん…」

中丸　「好きだよ…」

　「…ありがとう」

その言葉をもらってから少し、沈黙が続いた…

どういう意味の『ありがとう』なんだろう…

　「…私も雄ちゃんが好き…傍にいて…」

中丸　「！！ずっと傍にいるよ…」

俺は を抱きしめた…

ここで終わり、ここから始まる…

あの桜の木の下で…

完

+++　あとがき　+++

中丸氏ってこんなイメージ（笑）
私も中丸氏とここから始めたい…（違ッ）

仁姫　　　　　　　'05.10.28

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