「誕生日、何が欲しい?」
そう聞かれたのは1年前。
あの時は 楽しかったなぁ。
当時、私には 彼がいた。
あと 1週間で 私の誕生日。
"今年の誕生日は 1人かぁ・・・"
それも なんだか寂しい。
気になる人がいるわけでもない、増してや、好きな人なんて今はいないし
恋愛とは 程遠い位置にいる。
タタタタタタ・・・・ ドンッ!!
痛ぁーーーいッ!
いきなり 角を曲がった所で 人とぶつかった。
その拍子に 私は突き飛ばされ こけてしまった。
なんてついてない誕生日なんだろう。
仁 「痛てぇ・・・」
「ちょっと!なんで走ってく・・・・」
仁 「ほんとゴメン!今追われてるんだ」
そう言うと その人は私の手をとって走り出した。
「なんで私が走らなきゃ行けないのよーッ!!」
言っても言ってもその人は手を離さずに 走り続ける。
後ろを振り返ると 女の子の大群・・・
な、何? この人。
あの大群に追っかけられてんの?!
あんな中に放り出されたら・・・ 本気でヤバいよ・・・
走りながら考えたら、これは走らなきゃいけないと本能で思った。
いきなり繋いでいた手をぐっと引っ張られ
ビルとビルの間に 引っ張られた。
仁 「 しーッ! 」
・・・すごく距離が近い・・・
しかも 知らない人とこんなに密着するなんて・・・
なんだか変な感じ。
どんな顔してるか見れないじゃん。
しかも いい匂いがする・・・
仁 「ほんと 悪かったな。一緒につき合わせてしまって」
いきなり話しかけられ 我に返る。
「だって、あの大群の中に放り込まれたらたまんないよ」
その人は 口角を上げて 笑った。
仁 「俺もあれはどうにかして欲しいよ」
「ねぇ、よく追いかけられてんの?」
仁 「あ・・・うん・・・ 俺の事知らねぇ?」
「は?さっき会ったばかりで知ってるわけないでしょ!」
コイツ、俺の事知らないんだ?
「・・・っとに 最悪な誕生日だよ・・・」
仁 「え?何? お前、今日誕生日なの?」
「『お前』じゃありませーん! 私にはちゃんと『 』って名前があるんですぅーだッ!」
仁 「俺は仁。とりあえず 『仁』でいいから。」
そう言うと 仁は私の手を取って ビルとビルの間から通りへ出た。
追いかけてきていた女の子はもういない。
仁 「撒けたみたいだな・・・ よし!今日はお詫びに付き合うよ!」
「え・・・でもいいよ・・・悪いしさ」
仁 「予定あんの?」
・・・痛い所を突くなぁ・・・
「・・・ いえ ・・・ ありません ・・・」
仁 「じゃ、決まりだな!」
そういうとまた仁は私の手を取って歩き出した。
「ちょっ・・・別に手を繋がなくてもいいじゃん」
仁 「いいの、いいの!」
仁は私の手を引いてどんどん歩いていく。
今、初めて仁の顔をちゃんと見たんだけど・・・
どっかで見た事ある気がするけど・・・思い出せない。
それにしても・・・・美形だ・・・
手を引いている前から仁の香水の匂いがする。
前を歩いていた仁が 急に立ち止まる
ドンッ!
「痛ッ!」
仁 「乗って。」
初めて会う人の車に乗るって なんだか抵抗がある。
仁 「本当はさ、買い物とか連れて行ってやりたいんだけど この辺じゃまた追っかけられるだろ?」
「それはもう勘弁!」
そうして 私は仁の車に乗り込んだ。
仁の車の中では どこかで聞いた事があるような音楽が流れていた。
仁にもう1度、どうして追いかけられていたのか聞いてみたけど
結局 はっきりした答えは返ってこなかった。
ちょっと謎が多くて いい匂いがするこの男にちょっとときめいている自分がいた。
仁 「さ、着いた」
ここって・・・
1年前、元カレと最後に過ごしたお台場・・・
仁 「どうした?」
「ん・・・。1年前ね 元カレにここで何が欲しいか聞かれたなぁ・・・って思い出して・・・」
仁 「そんなん思い出すなよ。」
「そうだよね! ごめん、ごめん!」
仁 「今日はお前の横には俺がいるじゃん!」
私は 謎だらけの名前しか知らない『仁』に 微笑んで大きく返事をした。
仁 「俺さ、シルバーアクセ欲しいんだ」
「私の誕生日なのに!これじゃどっちが誕生日かわかんないよ。」
仁 「ま、いいじゃん!」
そう言うと、仁はまた私の手を握って歩き出した。
「ちょっ・・・手!」
仁 「それもいいじゃん!今日1日カップルだし」
・・・誰が決めたんだか・・・
シルバーアクセを選ぶ仁は、
子供がおもちゃを選ぶ時のような目をしていて見てて かわいかった。
仁は 2つのネックレスをどっちにしようか迷って、迷って
私に意見を聞くから 選んであげたらそれを購入したみたい。
店の外に出ると 辺りはもう暗くなり始めていた。
その時に ひと際目立っていたもの。
お台場の大観覧車。
私はすかさず 仁に言った。
「ねぇ、仁っ!! アレ乗りたい!!」
仁 「観覧車ぁ?!」
「私の誕生日だからいう事聞いてよ!」
仁 「わかりました」
仁は渋々賛成してくれた。
観覧車に並んでいる時に 女の子達が仁を見て振り返る。
「ねぇ仁、見られてるよ?知り合い?」
仁 「知らねぇ」
かっこいいと大変だね。 と 1つ皮肉を言って観覧車に乗り込んだ。
観覧車から見る景色は とても綺麗で・・・
今日、仁とぶつかって、なぜか一緒に走らされて・・・
誕生日に今日知り合った仁と過ごして・・・
今日1日の事を振り返っていた。
観覧車の中は次第に会話がなくなって・・・。
そんな時、向かいに座っている仁と目が合ったけど
何を話したらいいのかわからなくて、仁と目が合ったまま目がそらせない。
仁が横に座る。
仁の手が私に伸びてきて 思わずギュっと目を閉じたら
おでこに やわらかいものが触れた
仁 「誕生日おめでとう」
そう言って つけてくれたのはさっきお店で購入したシルバーのネックレス。
「これ・・・」
仁 「 がこっちがいいって言うからこっちにした。大事にしろよ。」
「ありがとう!」
仁 「俺は、コレ」
そう言って仁の胸元には色違いのシルバーのネックレス。
「お揃いだね」
手を繋いで2人でクスクス笑った。
3ヵ月後
仁は私の大好きな人で、大切な人になっています。
追っかけられていた理由も、女の子達が振り返っていた理由もわかった。
TVの中で見る仁は 相変わらずお揃いのネックレスをしてくれてる。
着信:赤西仁
仁 「
、終ったら帰るから 飯作って待ってて。」
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ラン姫の誕生日記念に書きました。
・・・ランちゃんの誕生日はもう1ヶ月ほど前になりますが・・・(υ′Д`)
ランちゃん遅くなってごめんっ!ペコリ! ┏○
* 06.05.28 * 和姫
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